映画「聲の形」感想。不満はあるが綺麗にまとめてある

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ネタバレがある。

公開初日の初回で見てきました。原作未読。一晩明けて60点ぐらいに落ち着きました。以下、よかったところと不満なところ。

◆よかったところ

特によかったところをよかった順に。

植野直花

キャラクターの中で一番気に入ったのが植野。気が強く思ったことはストレートに言う。言葉選びや立ち回りでもっと角が立たずうまくやれる方法はあるのにそれをしない。人が言えないことを言うキャラクターだからこそ内面があまり描かれない作品の中で特に際立って見えた。特に観覧車での西宮との会話。

欲言えばもっと掘り下げてほしかった部分(特に石田入院時)はあるが尺で考えれば他のキャラクターより出番も多く観覧車と見せ場はあるし、最後に手話で西宮とコミュニケーションを取るところもあり非常によかった。キャラクターデザインもかなりお気に入りで小学校時代、高校時代共に最高だった。

でもにゃんにゃん倶楽部はあの反応見せるためだけにあったのかと思うと別にいらなくね?とは思った。かわいかったからいいけど。

永束友宏

映画を通して泣くことはなかった聲の形だが一番こみ上げてきたのはクライマックス、石田がトイレに閉じこもりそこに永束がやって来たシーン。トイレに閉じこもり、俯いて顔を見ることができない石田に声をかけた永束の存在には本当にグッと来た。

橋での会話、石田に酷いことを言われ気にしてない風な事を口にはするがあれは虚栄心から来ているものだと思った。石田の転落以後成長があったのか映画内で詳しく描かれてはいないが西宮と筆談するシーンがありそれで十分だったと思う。

石田の母

永束とはまた別の種類のこみ上げがあり、一言で言ってしまえば母なんだよなあ~~~という感じ。思い返すと危ないのはむしろこっち。

息子のいじめを謝罪しに行くとき車から見える母の後ろ姿、耳たぶから血を流しながらも優しく声をかける姿、病院での西宮母・結弦とのやりとりなど全てが印象的。

西宮硝子

メインのキャラクターは概ねコミュニケーションを取る上で障碍とはまた別に障害がありコミュニケーションの困難さが伴っている。西宮の聴覚に障碍があるというのはコミュニケーションを取る上で困難を極めるが西宮は一番相手と向き合っていたように見えた。向き合ったが故に花火大会での事件につながってしまったんだなと思うと悲しくもある。

一回目の視聴では石田の贖罪、植野や永束に目が行ってた部分があり硝子について思いを馳せている時間がなかったのでもう一度観に行って今度は硝子について考えたいと思う。個人的にお気に入りのシーンはベッドで足をパタパタさせたところ。他にも石田が目覚めるまでの行動はこみ上げ度で言えば上述したものほどではないがよかった。

西宮結弦

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川井みき

川井は川井!って心の中で思いながら見ていた。その行動は計算でやっているような描写もなかったので素であれなんだな……と思うと本当にひどいが後述する不満なところを補ってくれていた感もあるため相対的に評価が上がった。

作画、演出

テクニカルなことは書けないので割愛。ただよかったと思う。

不満なところ

不満というか物足りなかったところを物足りなかった順で。

いじめ

キツい、辛いという声を多く見かける一方で映画で見られるように和らげたんだろうなという印象を持った。例えば合唱の練習をするときに西宮が歌った際の周囲の反応。

ただいじめやいじめに対する周囲の反応をより苛烈にすることで後半の贖罪の部分でより大きく感情が動いたかと言われればそうでもないので好みの問題だと思う。いじめに限らず全体的に本当はもっとキツかったんだろうなと思われるところをほどよく柔らかくしている部分は気になったので一番大きな不満点になるが、一般向けで出来るのはこれぐらいなんだろうなという感じもあり妥当だと思う。

真柴智

スーッと現れて石田と友達になり部外者と言われてスーッと離れていき、最後は石田と和解していたのでなんのためにいたんだという感じもあり。

不満でもなく物足りなさでもなくこの映画にいる必要あったのかなという思いがある。ただ最後に石田と和解した部分で表面上は和解したかに見えているだけで本心は違うんじゃない?みたいなことを思ったりもしたので気にならないわけでもないキャラクターではある。

ただ硝子の目線から見ると真柴は石田の(一応)友達であり、その友達が離れてしまったということが「私といると不幸になる」という突き放しの部分にはつながると思うのでそういう意味では後述する島田・広瀬よりは部外者感は薄いと思った。永束がいるからいらないっちゃいらないが……。

竹内

小学校時代の担任の竹内に関しては「障碍のある児童を抱えた教師の本音」みたいなものが見えてもよかったなと思った。そこを描かなかったのは尺の都合だと思うし今回の映画の本筋とはあまり関係がないので仕方ないが、石田ァ!や演技のトーンがかなりよかっただけに描写が少ないことでその辺の教師感で終わった感があり残念に思った。

佐原みよこ

影が薄い。ただ作者のインタビューを読むことで少し理解が出来た。

「佐原は、ストレスが大きすぎて、ストレスが強さになってしまった人物です。植野がどんな子か分かっちゃっているんです。それでも受け入れる」 Page 3/3 | 作者・大今良時が語る『聲の形』誕生秘話 自身の不登校が創作の原動力に【インタビュー】 | ダ・ヴィンチニュース

島田一旗、広瀬啓祐

存在が薄くていなくてもいいレベルに仕上がっていた。一応石田転落時に助けに来たみたいな描写はあったがそれについて何故そうしたのか?というか急に出てきた?みたいな感じもあり。

恋をしたのは

曲自体は好き。出たら買います。ただ今回の映画と合っていたかと言えば微妙。加えて言えばCMの作りとこの曲だけ見れば恋愛映画か?と思えないこともなく、実際には恋愛成分がものすごく高いわけでもないのでともするとミスリードでは?と思ったりした。

加えて言うなら音楽もそんなにという感じで、ただ抑制を効かせて淡々とやるならこれぐらいでもいいのかなという塩梅だったと思う。だったらEDの歌い出しも手心を……。

まとめ

映画単独で見れば綺麗な映画。ただ綺麗にするためにアクを取ったんだろうなと思われる箇所が気になり、そこによさを感じたりもしたので惜しいというかもったいないなという気持ちが先行してしまった。石田と西宮の話で行くならあれもこれもは入れられないので仕方がない部分はある。原作読者が映画を「初心者向けの聲の形」と評していたのは頷ける。

でも植野さんは植野~~~~って感じで最高だったので植野さんに会いに近々また観に行こうと思います。以上。

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